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2017年5月26日 (金)

『蜜蜂と遠雷』恩田陸

今日は雨でした(今はやんでいるので、過去形)。

そろそろそういう季節が近づいてきているようです。

   *

やっと先日読み終えた本にブログが追い付いて来ました。

話題の「本屋大賞」「直木賞」作品

   *

読んでいる途中も、

本の間から音楽が溢れてくるようだ。

本を閉じてもなお・・・♪が溢れてくる、最高に楽しかった本です。

    *

ピアノと言えば、教職課程でやったきりの私には、

まったく縁のないピアノ・コンクールの話。

しかし、そんな私でも想像はできる。

鍵盤の上を踊り回る、同じ人間とは思えない指を持つ、コンクールに出る人物たちを。

作者は言葉で音楽を、それを表現する人々を,まるでそこで奏でているように

書き連ねていく。

    *

そして読んでいく私は、その音楽そのものを確かめに行きたくなるのだ。

うまくできているもので、

コンクールの演奏順に曲目がユーチューブにあげられている。

それを聞きながら本を読んでいくと、

面白いことにピアノの音が、風景が、目と耳から入り込んでくる。

それだけ、文章にも力がある。

幸せな時間だった。

音楽が行間からも聞こえる。文字では表現できないはずの音が聞こえる。

聞いたことある曲名を確認し、最終的には全部聞いていった。

知らない曲は、想像できない。

けれど、それさえ、文章だけで、素晴らしい演奏であることが伝わってくる。

作者は音楽の表現に同じことばを使わないように気をつけて、それは苦労したらしい。

    *

おかげで、より贅沢に、ピアノ曲を聴きながら読むことになった。

描写は緻密。

キャラクターも魅力的。

ピアノコンクールがどれだけ大変なのかもわかった。

のりに乗って(?)、どんどん読み進むことができた。

コンクールのハラハラドキドキと人間模様、

しかも才能あふれる人たちの余裕の中での競争。

魅力的である。

頭の中に情景が流れていく。

私にとっても素晴らしい時間でした。

    *

彼らの音楽が言葉によって伝わってくる。

マサル、亜夜、風間塵、高島明石。

天才の才能を語ることはたいそう難しいと思う。

マサル・カルロスは、風間塵と亜夜に比べ、より常識的で、そして情緒的に振り切れてもいないので、話の起伏が少ない。その分、その素晴らしさを語るのもあっさりしている気がした。

彼はコンテスト優勝者ではあるのだが、その素晴らしさはあまり書かれていない。彼の音楽の素晴らしさは文章からはあまり伝わってこないように思った。

当然ながら、筆者の心意気とコンテスタントの能力は同じではないということだ。

この3人の天才の物語とは少し立ち位置が異なるが、高島明石の物語はサイドストーリーとして、普通の人により近い立場の人間として、この話のキーポイントにもなっている。これもまた興味がある。

明石のこれからの話も見てみたい。

恩師のギフトであり、音楽界のスパイスとして投入された風間塵

彼を触媒にして、周りのものはさらに前に進んでいく。

同じステージに立つ演奏家たちが互いに刺激し合って、どんどん成長していく、ということかな。

彼は意識していない才能の持ち主なのだろうか。

自然児 風間塵

    *

ネットで調べていくと、音楽映像も多々あった。

同じ演奏曲目をいろいろな人ので見たり、

時どき本を離れてユーチューブを渡り歩いたり、

有名なピアニストの演奏はもちろん、コンクールの金賞受賞者とか、銅賞とかの人のものや、小さい子供の演奏など、興味深かった。

この話に当てはめて考えたりもした。

ピアニストの流れるような、素早い指の動きをみて、うっとりどころか、驚いた。

久しぶりに音楽に浸った読書で、お得な豊かな時間を過ごせました。

    *

将棋の藤井聡太君然り、風間塵君然り、天才って、って

現実と空想をごっちゃにするなぁぁぁ、デスネ。

長々と失礼しました。(まとめろ!すみません、出来なかった)

内容紹介

俺はまだ、神に愛されているだろうか?

ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。

著者渾身、文句なしの最高傑作!

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?

(2016/9/23) 25

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