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2017年1月17日 (火)

『夏の庭』湯本香樹実

何かで評判を聞いたのか、リクエストした本

子ども向けかもしれないが

おとなでも十分楽しめる、12歳の少年たちの話。

キラメク文章がたくさん。

読後感も良かった。

映画にもなったらしい。

「人間の死」というテーマを扱ってはいるが、読み終わった後に残るのは、悲しみだけでなく、ほんわかふんわり優しい気持ち。

こういう気持ちをもらえたのはありがたい。と思う。

手の中にそっと包んでも、そこから優しい光がこぼれるような、

小さな物語。

想像の世界の話と言う形ではなく、

自分たちが実際に経験し、

その中で考え、

生長していくというのがいい。

これからは「おばけ」が怖くない。ね、みんな!

・ホースの角度をちょっと変えると、縁側からも小さな虹を見ることができた。太陽の光の七つのいろ。それはいつもは見えないけれど、たった一筋の水の流れによって姿を現す。光はもともとあったのに、その色は隠れていたのだ。たぶん、この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるんだろう。虹のように、ほんのちょっとしたことで姿を現してくれるものもあれば、長くてつらい道のりの果てに、やっと出会えるものもあるに違いない。ぼくが見つけるのを待っている何かが、今もどこかにひっそりと隠れているのだろうか。

・死んでもいい、と思えるほどの何かを、いつかぼくはできるのだろうか。たとえやりとげることはできなくても、そんな何かを見つけたいとぼくは思った。そうでなくちゃ、何のために生きてるんだ。

・…しゃべってもしゃべっても、話はどんどん出てくる。
そんなにたくさんの思い出が、このふたりの中にしまってあるなんて驚きだった。もしかすると、歳をとるのは楽しいことなのかもしれない。歳をとればとるほど、思い出は増えるのだから。そしていつかその持ち主があとかたもなく消えてしまっても、思い出は空気の中を漂い、雨に溶け、土に染みこんで、生き続けるとしたら…いろんなところを漂いながらまた別のだれかの心に、ちょっとしのびこんでみるかもしれない。時々、初めての場所なのに、なぜか来たことがあると感じたりするのは、遠い昔のだれかの思い出のいたずらなのだ。

いつか孫たちにも読んでほしいと思う。

内容紹介

町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ――。いつしか少年たちの「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが……。喪われゆくものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

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