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2015年6月 8日 (月)

『屋根屋』村田喜代子

友達のブログで見つけて早速予約。

待っている人は運よくいなかったので、さっそく読んだ。

どういう方向の話なのかも知らないで読んだ。

何といっていいか不思議な話。

図書室のカウンターの方が、新聞に載っていたので読んだけれど

途中でやめてしまった、と言った。

(2014/4/23) 33

    *

読んでみて

落ち着いて読まないと入り込めない話だと思った。

じっくり読めばあちこちに

楽しい話夢のある話が散りばめられており、

神社仏閣建物好きの私にとっては、

どこをとっても興味がある。

フランスの旅でどの寺院に行ったか、思い出は遠く

定かではないところも多い。

パリではない素敵な寺院に行ったのがあれが、どこだったのだろう。

ノートルダム寺院、シャルトル大聖堂、ランス大聖堂、アミアン大聖堂、

     *

主婦と屋根屋との心の交流の話が芯にあり、

それは夢の中か現実か。

瓦から日本の寺の屋根の話、五重塔(醍醐寺、興福寺、仁和寺、東寺、法隆寺、)

その作り手の歴史。

東西の宗教的建物の違い、

屋根屋が教える豊かな知識はおもしろい。

    *

屋根の上から見下ろすことで、人々の生きざまも見据え、人生をも考えるという。

屋根屋とともに過ごす、過ごしたい永遠の異空間の中で

日常から離れて、自分の魂が開放されていく。

    *

読者もありそでなさそな不思議な世界を一緒に漂う。

このファンタジーの世界をともに空から眺め、浮遊できれば、それは楽しい。

屋根屋の心の闇・悲しさ、それを共有してくれる主人公と永遠の世界で暮らそうという思い
は、報われず、屋根屋の内に秘めた魂はどこを目指していたのか。

古い時代から高いところに隠されていた、その人たちだけに許される場所に隠された「落書き」

屋根屋はそれらの人とつながっているのかもしれない。

     *

寺や寺院を見るのも好きな私には

ガイドブック的にも、とても興味があった。

そういう話の底に、中年の夫婦の話、屋根屋との魂の交流がヴェールのようにうすぼんやりと、川のようにゆったり流れている。

最後の7章は読めば読むほど面白く趣深い。

「相棒がおりません。」

「永遠の中で生きるために、現実の世界では滅びなければならないのではないか。」

    *

「屋・根・屋」というタイトルも考えると面白い。屋根の上と下。現実と夢。

『見残しの塔』久木 綾子  、『大聖堂 果てしなき世界』 上中下 ケン・フォレット などが思い出される。

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