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2015年4月21日 (火)

『悟浄出立』 万城目学

突然ですが、
私は高校時代、漢文はひじょーに不得意だった。

なら、いまはどうか。必要に迫られて、少しずつ、前に進んで。

私のレベルなりに、ちょっとだけ理解できる(気がする)。

    *

なんでこんなことを言っているかというと。

今回の本が、中国の古典に関するものだったからである。

    *

もう誰かの脇役ではない・・・中国の古典の脇役たちが人生の見方を変える

そういうコピー 

「悟浄出立」

最初のこの一編は普通に読み、それから次第に引き込まれていった本だった。

・「こっちが西天ですよ、と書かれた立て札が、どこかに用意されているとでもおもったか?ただ、自分が行きたい方向に足を出しさえすればいいんだよ!」

「好きな道をいけよ。悟浄。少し遠回りしたって、また戻ればいいんだ。もっとも、出来ることなら、最短の道をおねがいしたいけどね。」

「趙雲西航」 この文章には確かに中島敦の山月記のような香りがする。

少し音読気味にゆっくりと読んでいくと、すっと頭に入ってくる。

特にこの編はそう思った。小気味よい。リズム感がある。捨ててきた故郷への思い、いつもそばにあったその思い。

「虞姫寂静」

「虞」?そうか、あの「虞や虞や汝をいかんせん」の話だ。四面楚歌だ、などと思う。

「虞」という名前を取り戻していく、心の強い「虞美人」である。

強かった戦う男と、その最後に強く立ち向かい、自分を、自分の名前を、つまり自分自身を取り戻す心の強い女性の話。なかなか面白く、考え深かった。

愛する人のこころも取り戻せたろう、か。激しい。

「法家孤憤」「父司馬遷」とつづく。

(2014/7/22) 26

短いからこそ、余韻を持たせる素敵な短編集

    *

そうか、たしかに、芥川龍之介や中島敦に通じるものを感じる

いにしえの物語を現代の作家が自分の物語として、スポットライトを別のところに当てて…

別の話として仕立てて行く。そういうところも・・

    *

あいにくそれぞれの話を深く知らないのが残念だが、知らなくても分かる。

   *

風格というか品のある物語である。

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コメント

風格のある作品、最近はというかずっとご無沙汰です、こんなこというと作者の方に申し訳ないですけど。
中島敦氏を読んで以来かも。
漢文少しずつ前進されているなんてエライな~と感心しています。
私は漢文古文が苦手でいまだにずっと。
古文は必要に迫られて少しずつ付け焼刃的に使いますがすぐ鍍金が剥げて夫にすら見破られてバカにされています。
自分を浄化する意味で図書館で見つけたら借りてみますね。

投稿: VIN | 2015年4月22日 (水) 10時47分

こんにちは
VINさん
お具合はいかがですか?

私、この本を読み始めたとき
失敗したかな、って思いました。
でも
次第に文体に引き込まれて行きました。
機会がありましたら、ね。

投稿: いち | 2015年4月24日 (金) 12時20分

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