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2015年1月17日 (土)

『自白』上・下 ジョン・グリシャム

阪神淡路大震災から20年

歳を取った我が子供や自分たちを思うと同時に

あの時から

歳を取らない人たちのことを思う。

そういう人がいる、そういう人とともに生きていく辛さを、

そしてその家族の悲しみを思う。

忘れてはならない。いのちの大切さ。

     *

内容紹介

 男は贖罪のために現れた――のか? その月曜日、カンザスの牧師キースのもとを訪れた元服役囚の不気味な男ボイエットはおぞましい告白を残してゆく。脳腫瘍で余命わずかな男は十数年前、強姦殺人を犯したというのだ。結果、冤罪の若者が死刑宣告されたとも。刑の執行は木曜……四日しかない! リーガル・スリラーの巨人グリシャムが満を持して放つ大型タイムリミット・サスペンス。

  • 文庫: 430ページ
  • 出版社: 新潮社 (2012/10/29) 4,5
  • 面白かった。

    特に上下巻の4分の3近くまでは。

    タイムリミットに向けてどうなるのか、気になって一晩で上と下の半ば近くまで読み進んだ。

        *

    ところが、当然というか何というか、

    その下巻の半分まで行かずに結果は出てしまった。

    その先はどうなるのか、そこからは私自身が少しだれた。

    メルヘンやSFのようなことも想像してみたが、

    そうでもなく、

    そこからは別のテーマとなる。

        *

    タイムリーというか何というか

    そこには現代の世界のさまざまな問題が含まれている。

    グリシャムのライフワーク的なテーマだ。

    特に保守的な土地柄である南部諸州に根強く残っている死刑制度への反発や人種差別などが主なテーマとして語られている。

    彼の人種差別や死刑に関する思いは熱い

    ちょうど今世界で起こっている話とも共通する。

        *

    グリシャムの作品は、法廷ものが多いが、これは法廷内の話ではない。

    アメリカ法曹界に対する疑念など

    そして、人種問題、キリスト教内の教派対立など

    様々な問題点にスポットが当てられている。

        *

    「無実の人間は、

    往々にして尋問の最中に自分の権利を放棄してしまいがちだ。

    自分が無実だと知っているうえ、

    無実であることを証明したい一心で警察に協力しようと考えるからだ。

    身に覚えのある被疑者は、

    むしろ警察に協力しないほうを選ぶ傾向にある。

    そしてベテラン犯罪者となれば、

    警察をせせら笑ったあとは貝のように口をつぐむ。」

        *

    また、警察でポリグラフ(嘘発見機)検査をする場合についてもこのような記述がある。

    「警察の尋問というストレスにさらされた場合、

    無実の者のほうがえてして嘘発見器の検査に同意しがちである。

    なぜなら隠すべき秘密もなく、

    自分の無実を証明したい一心になっているからだ。

    理由はいうまでもないが、

    身に覚えのある容疑者はめったに検査に同意しない。」

        *

    無実の者は、ミランダ警告の権利を放棄し、

    ポリグラフ検査に同意し、

    そして、してもいない犯行のシナリオを作られ、自白を強要され、

    冤罪に捕らわれていく、とある。

        *

    小説の舞台のテキサス州では、

    この話のようなことは起こり得るというのだ。

    無実であるものが、いつか自分が無実だと分かる、と思う、信じる心情は理解できる。

    いずれにせよ

    冤罪はあってはならない。あらゆる科学的手法を使って事実を見極めてほしいと、つくづく思った。

    人の命は

    無くなったら取り戻せないのだから・・・

        *

    最近はミステリなどでも良く出て来る言葉です。

    「ミランダ警告(ミランダけいこく、英語 Miranda warning)とは、アメリカ合衆国において、アメリカ合衆国憲法修正第5条の自己負罪拒否特権に基づいて米国連邦最高裁が確立した法手続きの一つで、後述する4項目の告知が被疑者に対してされていない状態での供述は、公判で証拠として用いる事が出来ないとする原則である。日本語では、「権利の告知(読み上げ)」、ミランダ・ルールミランダ準則ミランダ法則などと訳される。」

    1. You have the right to remain silent.(あなたには黙秘権がある。)
    2. Anything you say can and will be used against you in a court of law. (供述は、法廷であなたに不利な証拠として用いられる事がある。)
    3. You have the right to have an attorney present during questioning.(あなたは弁護士の立会いを求める権利がある。)
    4. If you cannot afford an attorney, one will be provided for you.(もし自分で弁護士に依頼する経済力がなければ、公選弁護人を付けてもらう権利がある。)

    アリゾナ州でのメキシコ移民アーネスト・ミランダによるとされた誘拐・婦女暴行事件(ミランダ対アリゾナ州事件)について、1966年に連邦最高裁が示した判決(執筆者はアール・ウォーレン)に基づくもので、被告人の名に因む。この事件では州裁判所にて有罪判決が下ったが、のちに上告審において訴訟手続に問題があったとして無罪判決が出た。」(ウィキペディアより)

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