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2014年12月22日 (月)

『私に似た人』 貫井徳郎

先日「プリンセス・トヨトミ」の映画を見た。

あまり地上波の映画は見ないのだが、原作を読んでいたので、

少し気になったからだ。

『鴨川ホルモー』の人気作家・万城目学の同名作を映画化した奇想天外な物語。国家予算の使途を調査するために大阪を訪れた会計検査院の3人の調査官が、大阪にまつわる底知れぬ謎に巻き込まれていく姿を描く。同じく万城目原作のテレビドラマ『鹿男あをによし』でコミカルな演技を披露した綾瀬はるかが女性調査官を好演。

結果、原作に忠実のように感じた。

    *

この本は連作短編集ということで

前の作品の登場人物が次にも出て来る。(最近多い)

伊坂幸太郎ファンの私としては

あのような最後にすべてのピースがピタリと嵌まるような気持ちよさを期待した。

そして自分なりに結果というか着地地点を考えたりもしながら読んだ。

   *

つまり、この人達がどう繋がり、最終的にどのように収束していくのか。
そして真犯人はどういう人物でどういう背景を持ってラストに向かって行くのか。ということに興味を持って読んだ。

しかし、その最初の指示したあるいは暗示した犯人が分かるにつれ、その最初の最初は誰なのかが疑問になってくるが、はっきりとはわからない。

ラストは唐突というか、意外。

考えてもみなかった。

全編を覆っている、重苦しい空気(格差、いじめ、ニート、ネグレクトなど)は読者を「あぁそうだった」、と暗い悲しみの中に思い出させる。

作者は「秋葉原事件」を思い描いたと述べている。

貧困ゆえのテロで、社会が悪いという考えが起こり、その中で起きた事件は現代の日本でもひとつひとつ思い当たる事件である。

決してフィクションではない話から、どう救えばいいのか作者はどう考えているのか、問題提起をしているのか、読み進んでいく。

「最近多いよね。」「そうだね。」で慣れてしまわないように、今の日本を知り、これからのわれわれの日本を逆説的に考えて行くべきと思う。

     *

最終10章に筆者の考えは結論とともに述べられている。

「私に似た人はどこかにいる。」しかし皆同じ結論には至らないとも。

そして読者にもそう語りかける。 復讐するだけでない、違った道もあるのだと。      

    *

世の中の悲しい部分をリアルに拾い上げて、でも前を向きたいこころ。ねばならない。

憎しみの連鎖ではなく、それぞれが人の痛みが分かる想像力を持ち続けること。

(2014/4/8) 75

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