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2014年6月28日 (土)

『昭和の犬』 姫野カオルコ

70実家の
八重のくちなしが
とてもよく咲いている。

角を曲がると
いい香りで、一重より香りが強いという。
香りの女王様というらしい。
帰り際につい手折ってきた。

水切りをしっかりして、枯らさないように…
とてもいい香りである。

大輪の花の蕾具合がいい。

     *

150回直木賞は前記の恋歌」と、この本「昭和の犬」であった。
それが一緒に来たので、どちらから読もうかと思ったのだが…

アマゾンの「本の内容紹介」などが
やけに、な・が・い。
それだけで内容が予想できるかもしれない。

内容紹介

辛いこともあったけど、平凡だから、幸せなこと。
柏木イク 昭和33年生まれ
『リアル・シンデレラ』以来、待望の長編小説。

昭和33年、滋賀県のある町で生まれた柏木イク。嬰児のころより、いろいろな人に預けられていたイクが、両親とはじめて同居をするようになったのは、風呂も便所も蛇口もない家だった――。理不尽なことで割れたように怒鳴り散らす父親、娘が犬に激しく咬まれたことを見て奇妙に笑う母親。それでもイクは、淡々と、生きてゆく。やがて大学に進学するため上京し、よその家の貸間に住むようになったイクは、たくさんの家族の事情を、目の当たりにしていく。
そして平成19年。49歳、親の介護に東京と滋賀を行ったり来たりするなかで、イクが、しみじみと感じたことは。

ひとりの女性の45年余の歳月から拾い上げた写真のように、昭和から平成へ日々が移ろう。
ちょっとうれしいこと、すごくかなしいこと、小さなできごとのそばにそっといる犬と猫。
『リアル・シンデレラ』以来となる、姫野カオルコ待望の長編小説!
《昭和33年に生まれた主人公の5歳から49歳まで、各々の時期にあった何気ない出来事を、遠い風景画のように描いた話。
それらの何気ない出来事には、みな傍らに犬が(ときに猫も)います。
平凡だから幸せなこと……たとえば犬や猫の頭をなでるときの、あの心のやすらかさなど……を感じるとき、人は、幼き頃にしたように無邪気に、かつ、年を重ねた智慧で、天に向かって手を組んで祈るのではないでしょうか。人生そのものに。「ありがとう」と。(作者ブログより)》
    *
確かに。
その通り。
そういう内容の本であった。
文中でも、文章を書くことを「画布に置く」といっている。
(2013/9/12) 307p 42
    *
シベリア帰りで怒ると「割れる」父。
母は父のことを「あんたのお父さん」としか言わない。
そんな中で静かに大きくなってきたイク。
犬が友達。
8つの章で、時代に分けて、テレビドラマなどでその時代を語る。
ララミー牧場、逃亡者、宇宙家族ロビンソン、インベーダー、鬼警部アイアンサイド、バイオニック・ジェミー、ペチコート作戦、ブラザーズ&シスターズ
ココナッツサブレ、カルミン
昭和の懐かしいものがたくさん出て来る。
64年間の昭和(うち33年からだが)は懐かしく、平成までを一人の少女の成長とともに
描いている。犬とのつながりを絡めて。
各章の初めには、テレビ番組とその当時の事件で綴られている大衆文化の歴史。
人との交わり、別れも淡々と描かれており、
大きな山は無い。一つの文化評論だ。
最後の平成19年の章に、「みんな」でテレビを観ることが無くなり、
誰もが知っている歌は無くなり、雲の上のスターもなくなった時代とあった。
確かにそうだ。
しかし、それでも、読んでいくにつれ、平凡だけれど、彼女特有の世界に一緒に乗っていく。
この物語は「イクと犬とのパースペクティヴ( 遠近法。透視画法)」なのだと、文中にもありました。
やはり一枚の絵のような、風情なのですね。
いま、表紙をよく見たら「Perspective Kid]とありました。気づくのが遅い。
    *
イクの巡り合いや別れが淡々と描かれているのも、作者がそれを目指したからである。
読み進んで、主人公が父や母の死を見守ることになり、
あぁ人はみんなスピードは違えど、
死に向かってすすんでいるのだな、と、
いつも思うことながら、
深夜の私には、ことさら身近に感じたものでした。
人それぞれが持っている、
パースペクティヴな人生の絵画であります。

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