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2014年2月 6日 (木)

『シャイロックの子供たち』 池井戸 潤

昨日は日差しはあるが
非常に寒い日だった。

久しぶりに手が、かじかんだ。

図書館に行ってきた。その前に読み終えたこの本。

    *     *

まあこれも

池井戸作品の得意分野である。

その短編長編小説。

主人公は入れ替わりつつ

しかもつながっていく。

後半は

ミステリー調。

図書館に行く前に読み終わったのだが、

人間関係を正しく把握していない気がしたので、

一週間留め置き

だれか

どこかで解明してくれている人いないかなあ、と

人頼みをしてみるが・・・

    *

読んでいくうちに、

身につまされ、

たいへんだなあ と思う。

成果をせかされ、心を病んで

交渉相手として手土産を渡している相手が狛犬だった(シーソーゲーム)

というのもつらい話ではあった。

ヴェニスの商人の登場人物「シャイロック」に名を借りた、昇進に血道を上げて人間性を失っていく銀行員を描く連作短編。

作者はこういう経験をよほど見聞きしたのか、辛い思いをしたのか、怒っているのかと思った。

2006,1,30 単行本   10
2008/11/7 文庫

      *      *

ここから先は自分の頭の整理のために
どなたかのブログにまとめられていたものを参考にして書きました。
せっかく返さないで置いたのですから。

読んでいない方はネタバレとなるかも、ですので飛ばしてください。

   *      *

第一話 歯車じゃない

東京第一銀行長原支店の副支店長古川一夫は高卒の乙採用、(大卒の甲採用を見返すべく必死の我慢で副支店長にまでなった)甲採用の部下小山徹が古川を小馬鹿にするような態度を示したので、言動に耐えかね、つい小山に手を出してしまう。

第二話 傷心家族

入行以来同期トップと目されていた友野裕。選抜研修に選ばれながらその日体調を崩し、不参加。それ以降、昇進レースからこぼれていってしまう。

結婚し、子どももできた友野は2年以上も課長代理への昇格が遅れていることに焦燥感をおぼえ、一つ後輩の同僚滝野真は同期トップで課長代理に昇格し、すでに友野は追い抜かれていた。

実績を挙げなければならない友野にとって、頼みの綱の融資案件があったが、決まりかけた融資は競合する銀行により低利を示されたことでその社長が意思を翻し翻弄される。結果海外へ栄転。 

第三話 みにくいアヒルの子

営業終了後、現金百万円が紛失。
捜索のなか、百万円の帯封が発見されたのは営業課の北川愛理のロッカー。

父が倒れたことで給与の半分を実家にいれている愛理に疑いの目が向けられるが、愛理には覚えがない。

資産家である同僚の三木哲夫とつきあっていることへの嫉妬からの嫌がらせともみられたが、実は彼の家も今はそうではなかった。 

第四話 シーソーゲーム

業務課の課長代理遠藤拓治は3つ年下の滝野真と比較され、副支店長古川から支店のお荷物として面罵され、心身を病んでいく。

課長の鹿島は遠藤の努力を理解しつつも、結果が出ないので、助けることもできない。

そんななか、これまでの努力が実り、大きな取引ができそうだと遠藤が報告してくる。 まさに必死に頑張る遠藤。しかし。

第五話 人体模型

丸の内にある人事部坂井寛は長原支店の一人の課長代理の経歴を眺め、その男を知ろうとしていた。

正義を貫くため、上司羽仁との折り合いが悪く、それ以来不遇をかこっていた男。

長原支店の営業課課長代理西木雅博はそんな男のように見えた。

その西木が真相を暴こうとする。それ以来、失踪した西木。 

第六話 キンセラの季節

かつて高校球児だった竹本直樹だったが、現在は長原支店の融資課課長代理。

西木が失踪したことで、営業課の課長代理も兼務することになった竹本は西木の机に残された写真から、西木の失踪が自発的なものでないと思うようになる。
少し真相を探ろうとするが、そのまま広島へ転勤となる。 

第七話 銀行レース

検査部の黒田道春は長原支店への検査に立ち入る。

早々、黒田に気安く話しかける支店長の九条だったが、黒田には見覚えはなかった。

黒田は、支店が隠してきた百万円紛失・発見の報告に虚偽があることに気付くのだが、そこで九条にあることで脅かされる。男」とはだれなのか。

第八話 下町蜃気楼

ケアレスミスで古川に叱責を受ける融資課の新人田端洋司は長原支店に愛想を尽かし、外資系企業への転職を計画していた。
そんなとき、営業課の北川愛理から言付かった書類は、滝野真の担当企業江島工業のものだった。

外出したついでに届けようとした田端だったが、その企業に実態はなかった。
不審に思った田端と愛理が調べていくと・・・。滝野の架空融資が発覚 

第九話 ヒーローの食卓

事態の発覚後、古川らの前に顔を出すこともなく家に帰った滝野真は何事もなかったかのように家族と食卓を囲んでいた。カツカレー

祖父母の話をする息子の言葉に、今の状況を考え、自分自身が反発してきた父の言葉を思い出し、自分の生き方を考える。
そして、出世至上主義でやってきた自分が足を踏み外すこととなった事件の記憶を思い起こしていく。 

第十話 晴子の夏

西木の家族に、西木の遺品を運ぶ役目を担わされたのは派遣の晴子だった。
自身の夫彰彦が、銀行合併の業務に押し潰され自殺した日のことを回想する。

西木は昔滝野と面識があった。西木は生存しているかもしれない、と言う含み。

    *      *

と言う流れで、さほど人と人のつながりは複雑ではなかった。

真相に迫る各短編の主人公たちも、詰めが甘いというか、中途半端で、
それがメインのミステリでもないので、仕方ないかと、納得感はありつつも、
どこかで正義に燃えた人が現れないかと思ってしまう。

これは半沢直樹風ではないのだ。

内容(「BOOK」データベースより)

ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。

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