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2013年6月13日 (木)

『等伯』上・下 阿部龍太郎 *

リクエストしていた本

時代小説はあまり読まないので、
読むかどうか、少し悩んだが
読んでみると、いわゆる時代小説独特の言い回しはそれほど気にならなかった。

むしろ
各地の地名や寺の名前などが、
私の行ったことのある、知っているものが多く
嬉しかった。

いままでは日本の中世・近世の絵の世界と言えば、狩野派
どこの寺社に行ってみても、それだけを実感して、
感動していた。

この本を読み、実際はどうなのかわからないけれど、
大きな組織を率いる長は、それなりに大変な責任があるのだろうな、と,永徳を見て思う。どこの絵を書かせてもらうか、も大切なのだ。

後半の、狩野永徳の、とても芸術家の澄んだ気持ちとは思えない押しつぶされた精神を思う。

しかし、狩野派は4世紀にわたって隆盛したのに対し、
長谷川派は彼の死後はあまり続かなかったというから
難しい。

読後感はいい。
また読みやすかった。
天地明察 」と同じような前に進んでいくような気持ち。。

ひとりの人間の進化を追う、という点では、まさに川の流れ、大河小説であり、ケン・フォレットの「大聖堂」にも似ているが、
それよりはこちらの方が言葉遣いははるかに上品、と思う。

あの時代が上から目線でなく、
波に翻弄されつつ、浮かび上がる力を持った、ひとりの絵師の立場から良く書かれており、良かった。

私は入試に日本史選択をしたけれど、肉付けするとこういう話になるのだ。

「松林図屏風」 これがこの物語のすべてなのかもしれない。

上下巻ともに、表紙、見返しともに、この絵で包みこまれていることからも、
作者や関連した方々の思いが伝わってくる。

これを機に
美術館での見方も変わるだろうか。楽しみだ。

来年1月2日から26日まで上野の国立博物館で展示されるらしい。行きたいな。行けるかな。

第148回(平成24年度上半期) 直木賞受賞

内容紹介

都に出て天下一の絵師になる――武家から養家に出された能登の絵仏師・長谷川信春の強い想いが、戦国の世にあって次々と悲劇を呼ぶ。身近な者の死、戦乱の殺戮……それでも真実を見るのが絵師。その焦熱の道はどこへ。

日本経済新聞出版社 (2012/9/15)  (37,38)
上 350ページ
下 369ぺージ
萩耿介さんの「松林図屏風」という本もあるらしい。いつか。

日本経済新聞出版社(2008/11/29)

内容紹介

安土桃山の世、永徳率いる狩野派全盛の時代に独自の画風で対抗し、遂に脅かすまでになった絵師・長谷川等伯とその一派の盛衰を重厚な筆致で描く。謎多き巨匠の生涯に迫る力作歴史長編! 第二回日経小説大賞受賞!!

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