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2013年5月20日 (月)

『青い鳥』 重松清 *

偶然手にした本。

中学校にやってきた臨時の先生が去っていくときには何かを残していく、話。

全体を通して
いじめ、仲間外れのさまざまな事情への取り組みがある。

学校の中で仲間外れにされた生徒
先生は「一人ぼっちだから嘘をつくのだ」といい、「小さいときに下の名前で呼ばれない分さびしいのだ」ともいう。

それぞれの事情が語られていく。

先生のゆっくりした語り口で、優しく。

村内先生はうまく話せない、だから「大切なこと」しか言わない。
うまく話せないが故に伝えることが出来ると思っている。
それは「そばにいること」「ひとりぼっちじゃないと伝えること」。

ひとりぼっちが二人いれば、それはもう、
ひとりぼっちじゃないんじゃないかって先生は思うんだよなぁ。
先生は、ひとりぼっちの。子の。そばにいる、もう1人の、ひとりぼっちになりたいんだ。だから、先生は、先生をやってるんだ
」という言葉

「間に合った!」
先生はある意味使命を帯びたスーパーマンなのかも?
だってその学校で、一人を救ったら、別の学校に行くのだから。

最後の「カッコウの卵」では先生に出会ってから
7年たった22歳の俺が言う。

「授業よりも大事なことがあるから」
そばにいるんだ」
「先生はそばにいてくれる」

ごく一般的な、普通の子に寄り添うのではない。
何か困っている子のそばにいて、悩みを受け止めてくれるのだ。

最初、なんだかつらい内容だなと思いつつ、しかし読むのをやめられない。
最後には一人ぽっちの子のこころを掬ってくれるから、
わたしもまた安心して次へ進める。

重松さん特有の話ではあるけれど、そして少し暗めだけれど、
でも救われる話だ。

読んだ後まで心から湧き上がってくる気持ち。
最後の「カッコウの卵」でまた救われる。

罪になってもならなくても、したことを忘れないでいることが責任だ。自分のためにそのことを忘れるな。

確かに、そう思う。ただ単に下を向いているのでもない。

「本気で言ったことは本気で聞かないといけない、」
「嫌うから、大勢だからいじめになるのではなく、人を踏みにじって苦しめようと思うこと、苦しめていることに気づかずに、苦しくて叫んでいる声を聞こうとしないことがいじめなんだ。」

その苦しみに気づかないほど相手を軽くしか見ておらず、相手を踏みにじった」というのです。

また「そういうことをしてしまった時、責任として、忘れてはいけない、」とも言います。
そういう友達とまた会ったとき、今度はその声が聞こえるように。

つまり、一度犯してしまった過ちを忘れないで生きていくことで、
同じことをしない、それが責任だというのです。

一つ一つ心にすっと入ってくる言葉たちが並びます。
未読でしたらお奨め。。

本気の声を正しく皆が聞くこと。
本気の声を本気で聞いた
その先に、生きていく道筋が見えてくる。

人は皆過ちを犯す、その過ちにどう向き合っていけばいいのか、が問題なのです。
村内先生はそのことを忘れるなと言います。過去の過ちをただ、ただ悔やむだけでは何にもならない。
しかし、忘れてしまえば、また過ちが繰り返されるのだ。過度の自責も忘却も、つまりは、正しく過ちと向き合えない弱さ・心の不足がそうさせるのだということだ。

先日たまたま、BSでこの映画を見ました。
表題の「青い鳥」を題材にしています。
丁寧に原作に従っていると思いました。先生役の阿部寛 が好演です。

過ちを犯す弱さを受け入れられる強さが、過ちと向き合えない弱さを超えて行くとき人は皆互いを大切にし、共に生きていけるのだろう。

自分の犯した過ちを忘れず、自分自身の責任として引き受け続け、その上で自分の人生を歩んでいく。
つまり犯してしまった過ちを、自分の中に学びとして受け入れて活かしていく。
それが自分が生きることの一つの大事な道なのではないかと思う。

最近のいろいろな世の中の状況とも重ね合って、責任の取り方やその後の進み方など考えていました。

いじめとは人と人とのことではあるけれど、それが大きくなると、地域・国・人種など自分と違うものに持ちえるものだとも思います。

重松さんに「いじめ」について、自分と同類ではないものとの向き合い方を教えられた気がします。30冊目

最初顔がはっきりしなかった先生の物語が、このブログをまとめるときにはすっかり阿部ちゃんの声と顔で残っている。後半は映画を見てから、なので。

 長くてすみません。頭が回らないぞ。予定投稿ナリ。

2007,07 

内容紹介
村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、家庭を知らずに育った生徒──後悔、責任、そして希望。ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語

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コメント

記事を拝読しました。阿部 寛さんが主演している映画の題名が「青い鳥」有るのを知りませんでした。

投稿: ○{落合紘史} | 2013年6月10日 (月) 09時05分

こんにちは

阿部さんの映画はたくさんありますが、
これも原作に忠実で
良かったです。
またおいでくださいね。

投稿: いち | 2013年6月10日 (月) 14時58分

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