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2012年8月 8日 (水)

『さよなら、そしてこんにちは』荻原 浩

41冊目

「陽介は急ぎ足で霊安室へ向かっていた。・・・」

この本を読みだしたのは

ちょうど夫が通夜から帰った夜だった。

彼女が亡くなったという連絡を聞いてから二日間、私はどうやったら通夜、お葬式に自分も行けるかずっと考えていた。

しかしさまざまな事情から、私はいかず行けず、夫のみとなった。

残念だったけど、許してね。

十数年前の父のお葬式に来てくれて「私はあなたの友達だから・・・ね、そうでしょ」と言ってくれた声が今も残っている。

そして、最後になってしまった、病室からの「今日入院したの。お花ありがとう。」という電話の声も。

入院したとは知らずに送った何度目かの花だった。

病室に花は持ち込めないと言われたのを、これは大事な花だからと、許してもらって飾っていたと聞いた。

ちょうどその日に届いてしまったのも何かの縁だろうか。

まったく病気に負ける気はない、という元気な言葉とともに立ち向かっていた。

できることなら、かなうなら私の体重を半分でも捧げたかった。

私の入院中に「カエルの置物」をくれた人。

そんな思いを持って読み始めた本だった。

どんな内容かも知らずに借りてきた本の最初が、「霊安室」「葬式」という言葉が並んできたので

少々辛く、いろいろ思い出しながら読んだ。

短編集だった。

読み心地は悪くなかった。

この本と彼女の死はこの暑い夏とともに

忘れない。

どの編も

優しい中に可笑しみを含み、ニコッとして終わる。

どれも「あるある・・」「そうよねえ」と分かるような、

一筋縄ではいかない人生の(それほど大げさではないけれど)

日常の悲哀をユーモアで味付けした短編集

ありがちだけれど「ビューティフルライフ」もよかったし、

「スローライフ」もありそうだし、

「長福寺のメリ-クリスマス」も。

「美獣戦隊ナイトレンジャー」も、ありそうだ。

内容(「BOOK」データベースより)

笑い上戸で泣き上戸の営業マン・陽介の勤め先は葬儀会社だ。出産直前で入院した妻がいるがライバル社を出し抜いた葬儀があり、なかなか病院にも行けない。生まれてくる子どもの顔を葬儀の最中に思い浮かべ、笑顔が出そうになって慌てる。無事仕事を終え、病院に向かう陽介にまた厄介な案件が…(表題作)。―人生の悲喜こもごもをユーモラスに描く傑作短編集。

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