« テーブルの上の忘れもの…その2 | トップページ | 『ブラフマンの埋葬』小川洋子 »

2012年6月17日 (日)

『冷めない紅茶』 小川洋子

私がこの本を読み終えたとき

あたりは静寂だった。

梅雨の季節の

雨ではないが曇りきった夕方

明かりもつけずに読んでいた。

静かな空間に静かな気持ちが漂う。

この作家のものは何冊か読んでいるが

いつも不思議な世界。

現実か幻想か、その狭間を行くような話。

しかし、対談集を読んで、作者の生の声を聴いた気がしている。

2作を収めている。

「冷めない紅茶」はひっそりと、大人のメルヘンとも取れる。

まさに小川ワールド。いい。

この本自体が

今のようなバーコードではなく

奥付に紙を貼って貸し出しカードがはさんであるのが

「冷めない紅茶」の美しい司書の話と通じるものがあって

ふしぎな感じがした。

ダイヴィング・プール」は幼児への仕打ちのところが辛かった。

そうなる心の過程が私の想定外というかなんというか。

で、実は途中から心配のあまり、日中というのに

いつもは夜、寝る前にしか本を読まない私が午後に読み切ってしまったのだ。

この本全体に流れる、抽象的な水の表現や流れる空気などの表現は素晴らしい。

梅雨の重いどんよりした薄暗さの中で読んでいくと、

どんな気持ちになるだろうか。

深く沈み込んでいくかもしれない。

とことん行くのもいいかもしれない。

病持ちの私は特にこういう天気の日は頭も重くはっきりしない。

感想を「ふしぎな世界」でまとめてしまうのもどうかと思うけれど、まあ仕方ないか。

許してくだされ! 33冊目

|

« テーブルの上の忘れもの…その2 | トップページ | 『ブラフマンの埋葬』小川洋子 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

小川洋子さんは私が今住んでいる町の出身なんですよ。
ベネッセ(昔の福武書店)主催で今は無くなった「海燕」新人賞から出発されて『博士の愛した数式』大ベストセラーでしたね。
なんというかまさに小川ワールドですよね。
繊細な独特な皮膚感覚というか。

投稿: VIN | 2012年6月18日 (月) 20時56分

そうでしたね。
今調べていたら、「ダイヴィング・プール」の設定は彼女のそういう生い立ちからだったのでしょうか。
ベネッセも岡山が出発地でしたね。
そしてVINさんも?
「博士の・・・」はどことなく、まじめな可笑しみが感じられて好きでした。

投稿: いち | 2012年6月18日 (月) 22時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« テーブルの上の忘れもの…その2 | トップページ | 『ブラフマンの埋葬』小川洋子 »