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2012年1月18日 (水)

『遥かなる水の音』村山由香

初めまして、という作家である。
2003年「星々の舟」で129回直木賞受賞、この本の題名には記憶がある。

私の読んだこの本は、パリからモロッコ、サハリまでのふんわりした言ってしまえばロードノベルである。

しかし不思議な雰囲気をどこまでも漂わせてはいる。

行ったことのある人には懐かしく、行ったことのない人も有名な景色に思いをはせるだろう。私などは興味あるので何回もテレビなどで研究しているから、うんうんあれね、あそこね、という具合にまるで行ったことがあるように読んだ。

モロッコの街並みや素敵なホテル、料理、小物類など、読んでいき、想像するだけでため息が出る。
そう思って読めばそれだけで楽しい。

主人公とその姉、その友人のカップル、同居人、現地のガイドなどのそれぞれの気持ちで、章立てで、一人称で語られていく。これがいいかと思う。

読み始めはわかりにくかったが
次第に話の筋らしくなってくる。

06sahara33サハラ砂漠の自然、雄大さがもたらす雰囲気がこういう作品を作らせたのだろうか、という気もする。

友達カップルの話はほかの人の沈むようなテンション・流れとは少し外れていて軽く、全体の調和から考えるとどうなのか、違和感を感じたが、これも必要なのだろう。

最後に砂漠にまかれた主人公が語る。

「生まれ変わらなくて、いい。…森羅万象のなかに、ただ在ればいい。… 

砂の下深くを流れていく水脈の、涼しげな音。この乾ききった砂漠のなかで、文字どおり命綱となる遠い水音だ。 

それらはどれも、愛しい者たちのからだを流れる血潮に似て、みずみずしく、力強く、命の鼓動と絡み合うように響き続ける。 

僕はその音を聴く。その音になる。遥か深くを流れる水の音と一体になって、懐かしいひとたちのもとへ帰る。--還る。」

この最後の言葉が表題。

「モロッコ 写真」で検索したら山ほどの写真があった。
この本にふさわしい一枚をお借りした。

3冊目

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