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2008年2月 3日 (日)

『石のささやき』  トマス H.クック

石のささやき (文春文庫 ク 6-16) 石のささやき (文春文庫 ク 6-16)

著者:トマス H.クック
販売元:文藝春秋
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2007,9 13

これまた読書仲間に教えられてリクエストした本。
週刊文春ミステリーベスト10、2007海外版第3位
二日ほどで読んだ。

ミステリーとサスペンスの違いは何か。
先日ヤフーのページでその違いを読んだ。
ミステリーは事件の犯人がわからないで探していく、
サスペンスは犯人がわかっていて追い詰めていく。
そんなことだったが、
だとすればこれはそのどちらにも当てはまらない。
事件はあったのか無かったのか…それさえ・・

読みながらとても不安になる。
そんな情況でしかも先を読み進まなければいられない。

主人公が「おまえ」と呼ばれて語られる文章で始まる。
看守、刑事、不安の川、忘却の川、人殺し…
そんな言葉の中
読み手としてはどういう状況なのかを、
つかもうとしてなかなかはっきりせずつかみきれない。
情感豊かな文章で手中にはまった感じ。

やがて主人公の名前もわかり、
「わたし」という一人称でも語られる。

さて「おまえ」と「わたし」はどういう関係なのか。
今はどういうことなのか。
読み手は不安定な石の上に座って読んでいる気分。

少しずつ
作者は巧妙に明らかにしていく。
どんな悲しい事件があって、
どういうことになったのか。

読後感は悲しい家族の愛の物語。
石のささやきが聞こえる、それは信じるべきなのか、そうではないのか。

「声が言った。…
それで、おまえは言われたとおりにした。」

このラストの言葉でまた続くであろう、家族の話が思われる。

編みこまれる珠玉の引用文。
重く、意味のある言葉たち。
不思議な作品だった。
解説(池上冬樹)もまた格調高い。福永武彦「忘却の河」も興味がわいた。

(内容紹介)
息子を事故で亡くし、凶器の淵に沈む姉。その周囲に渦巻く悪意の源を探る弟。
犯罪文学の名手が人間の魂の深奥を静かに描く最新作。

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コメント

解説に「忘却の河」の話が出てくるのですか?
学生時代、好きだった小説でした。福永武彦という名前を見ただけで胸がどきっとしました。

投稿: つっさん | 2008年2月 3日 (日) 16時19分

こんにちは つっさん
そうなんです。クックの文を読んで思い出したとありました。
出典を明記しなければクックの文章のように思えるのではないか、とも。
そして解説者もまたこのあと何度目かを読み返したというのです。
私は読んだのか読んでないのか・・・
つっさんのお話を聞いて私はそちらを読んでみようと思いました。

投稿: いち | 2008年2月 3日 (日) 20時05分

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