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2006年9月26日 (火)

『魂萌え!』桐野夏生

魂萌え ! 毎日新聞社 2005,4  33 図書館を待つこと一年。遅まきながら。
夫の急死後、世間という荒波を漂流する主婦・敏子。60歳を前にして、惑う心は何処へ? ささやかな「日常」の中に、若い人にはまだ想像できないような、豊饒な世界を描き出す。2004年『毎日新聞』連載の単行本化。

娘は一日、数時間。息子2は電車の行き帰り2日で読んでいた。
私もとびとびで2日。
つまり読むにはそう時間がかからない、話だ。

娘は読み始めて止めようと思ったが、話題の本らしいので読み進んだという。
息子の半分までの感想…「いい人が全然出てこない。60の大人ってあんなものなのか。」で、最後まで読んでの感想…「読んだ人は『自分は、まだまし』って思うんだね。」であった。不評である。
ちょうど我々親子の年代でもある。

桐野作品は「OUT」のみだがそれとはえらく違う。
団塊の世代ごろの人の生き様(と言うほどのものでもないが)普通の人の
どこにでもあるようで、無いようであるような話。
ふらふら思い惑い迷う主人公になかなか同調もできず読み進む。

、「魂萌え」とは肉体は衰えるが、魂はますます燃え盛る、という著者による造語という。
「中高年が年を取って悟ったり不自由になるのではなく、生き生きとした気持ちを込めた私には珍しい作品です。」と桐野さんは語っている。
かくすればこれは団塊世代が迎える先の時代へのエールなのだろうか。

しかし少なくとも私や私の周りには
とっくに自由に心を遊ばせるすべを知る人ばかりなのだが。
主人公の自信のない惑い方も
それが突然のこととはいえ(経験は無いのではなはだ勝手ではありますが、)、
私には不服ではあった。
読んでいて、もどかしくてたまらなかった。
それがこの本を読みながらずっと持ち続けていた違和感なのかもしれない。

しかしこの主人公も自立して自分の意志を持って生き始める。

私はいつも思っている。人は結構強いものだと。

「今まで思ってもみなかった感情や思いを育ててみよう。違う生活が待っているのだから、違う自分になる方がいい」
人は普段は自分のある一面でしか暮らしていないのかもしれない。
だから別の面にスポットライトを当ててそれを出せばいいのかも。
人間の可能性?ですね。

これも、中高年へのエールととらえようか。

「面倒かけられた分、かけなくては。」という老夫婦の話。
人生お互い様、っていうことか。
「知らないことは罪なんですよ。」相手を知ろうとしなかった罪はあるだろう。
それもまた知ることで味わう苦しさで罪を償うのか。

プラスに考えると(読んだ時間が惜しいものね。良いところ見つけて行こう。)
なかなか味わい深い、エールを受けた気分になったというところか。

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