« 早いもので・・・ | トップページ | 一ヶ月が過ぎました。 »

2006年8月31日 (木)

『ミーナの行進』小川洋子

412003721501「 ミーナの行進」小川洋子 28
中央公論新社 2006.4

出版社/著者からの内容紹介
美しくてか弱くて、本を愛したミーナ。あなたとの思い出は、損なわれることがない――懐かしい時代に育まれた、二人の少女と、家族の物語。

12歳の少女の思い出はほのかに甘く、大人になっても大切な宝ものになっている。
以前テレビでご本人が神戸を歩きながらこの本について語っていた。
だから彼女の経験が入っていると、勝手に思っている。
読んだ後にしばらく、激しくはないが、じわっとあたりに漂う不思議な思いが残る。
「窓際のとっとちゃん」とは色は違うが、似たような雰囲気の物語。

娘と昔読んで二人で「良かったね、」と言い合った「思い出のマーニー」という児童文学書の読後感にも似ている。

時は1972年 芦屋の豪華な洋館での話
乗り物、乳母車、父の自転車、ベンツ、ポチ子、
ミーナ、喘息持ちの少女は本好きの少女、コビトカバに乗る少女そして
マッチで美しい火を点すことのできる少女

マッチ箱の絵柄に織りなすミーナの作る物語が劇中劇のように思い出に色を添える。
12歳の私と11歳のミーナの1年間の思い出だけれど
それは深く切なくそしてはかなく何十年たっても褪せることなく、かえって鮮明になってくる。
思い出は時と共によけいなものをそぎ落として、大切なものはより鮮明になってくるものかもしれない。

私も少女時代(が、あったのだ!よ!)の思い出を書いてみたくなった。

話としては大きな山はなく、
複雑な事件も起きない。
それでも登場人物は際だって存在感を持ってそれぞれの光を放つ。
少女の夢も淡い恋も、少し見てしまった大人たちの闇も
セピア色ならぬ思い出色に染まって
全体として大きな空気、小川さんの一世界をつくり上げている。

寺田 順三の装丁、挿絵もすばらしく、味わいを深めている。
大人の童話かな。「思い出のマーニー」も最近復刻されたらしい。これもどうぞ!

思い出のマーニー〈上〉 Book 思い出のマーニー〈上〉

著者:ジョーン ロビンソン
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

|

« 早いもので・・・ | トップページ | 一ヶ月が過ぎました。 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『ミーナの行進』小川洋子:

« 早いもので・・・ | トップページ | 一ヶ月が過ぎました。 »