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2006年3月24日 (金)

『博士の愛した数式』小川洋子

人の波から遅れてしまったベストセラー。18

出版社/著者からの内容紹介
記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。頻出する高度な数学的事実の引用が、情緒あふれる物語のトーンを静かに引き締め整える。著者最高傑作の呼び声高い1冊。

何を隠そう(隠す事もないけど)、我が家には「タイガース」のファンがいる。
「今日この本もっていっていい?」 珍しい事だ。
作者も同じくのファンのようでそれで親しみを持っていたようだ。

去年ペナントレースも佳境に入った頃、夫の持ってきた新聞の切り抜き。
そこには小川さんが書いた阪神優勝を待つファンのやきもきした気持ちが、
ユーモアたっぷりに書いてあった。
彼女の文に接した初めての時だった。
作品とは異なる文調で(当然か!)しかし夫には強く彼女の名前が刻まれていたらしい。

「1990年の芥川賞受賞以来、1作ごとに確実に、その独自の世界観を築き上げてきた小川洋子。事故で記憶力を失った老数学者と、彼の世話をすることとなった母子とのふれあいを描いた本書は、そのひとつの到達点ともいえる作品である。現実との接点があいまいで、幻想的な登場人物を配す作風はそのままであるが、これまで著者の作品に潜んでいた漠然とした恐怖や不安の影は、本書には、いっさい見当たらない。あるのは、ただまっすぐなまでの、人生に対する悦びである。 」

確かに彼女の作品は不思議な雰囲気がある。
その中ではこれは
普通に読める気持ちの良い本であった
恐怖や不安ではなく、信頼と平穏な愛が入っているからであろうか。
だからこそベストセラーにもなった。
文章力がすごい。意味の分からない数字や数式にふわっとした衣装を着せて、
文化系の私にもそれらに存在感を感じさせ、夢を持たせてくれる。
彼女はそういう専門なのだろうか。

しかし読み終えると、ほのぼのほんわかは残るが、
前に読んだ本のような強烈な印象は残らない。
それが「普通」「万人受け」「一般的」=ベストセラーという事なのかな。
どうしても映画の配役で考えてしまうのが、残念というか何というか。

もう少し彼女の本も読んでみようか。

Photo_18
写真は野球を見に行く場面で思い出した、数年前の甲子園。あの3月の旅ものんびりした楽しい旅であった。

経験を重ねると自分の中の引き出しから思い出を出して、本の内容に重ねて読む事も多い。
その分、想像力が負けてしまいそうになる。

「知ってる」「やったことある」「いったことある」で片づけないで、小さな事にも感動できる気持ちは忘れないでいたい。

博士の愛した数式 博士の愛した数式

著者:小川 洋子
販売元:新潮社
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