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2006年2月14日 (火)

『蒼穹の昴』 浅田次郎

講談社文庫 全4巻 ~⑬

汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を待ち受ける宿命の覇道。万人の魂をうつべストセラー大作。

最初の占い師の語り口が妙に心に残る。そしてそれに導かれるように話は進んでいく。「壮大な」、解説には「破天荒な」とあったが、歴史の中に織り込まれた物語。実際の人物名も多く何がほんとなのか分からないが、実に楽しく読めた。

4巻といっても字も大きく、読みやすく、我々はターゲットだったのかな。

中国の清の時代とイタリア、ベネツィアなどの美術、音楽の話も織り込まれ、歴史絵巻のよう。科挙制度の複雑さ、その問題点。

日本の明治維新。その時代の世界観。「尊い書経の訓えを何一つ理解せず、ただ丸暗記をして科挙に登第した僕ら士太夫が政治を語り始めたとき、国家は自ずから衰亡の道をたどったのだ」と登場人物は最後に思う。そうして時代は変わっていく。

時代は異なるが「大地の子」を読んだような気持ち。長い時間の中に様々な人がけなげに雄々しく生き、それは大きな渦となり、生きた証を歴史に残していく。

中国西太后や清国末期の映画も見たがそれらとも異なり、また重なるところもある壮大な話だった。

天命や定められた星の運命もそれに従うだけでなく変える努力をすれば、心から望んで努力すれば変えることができる。そうよね、そうじゃなければつまらない。生きていく楽しみもない。

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