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2006年2月16日 (木)

『ベツレヘムの星』アガサ・クリスティ

早川書房 ⑭
この本はクリスティのクリスマスに関する短編集です。
宗教が背景にあるようですが、私にはそれを超えたほのぼのしたものが感じられます。
主人公が聖ペテロであってもあるいは無名の何かであっても。
時にはクリスティの辛口の皮肉も入って、キリスト教を知らないものにも思いは伝わります。

この中に「水上バス」という短編があります。
友人と「春にして君を離れ」について話したときに
「私はこの話が好きです。こんな奇跡が私にも起こらないかな。」
と紹介してくれました。(解説によるとこの二冊は同じ系統らしいです。)
早速読みました。

その主人公は自分で「人が苦手」と思っている穏やかないい人。
人混みを避けて水上バスに乗りちょっとしたきっかけで
人の見方が変わるという話。
周りの今でいうところの「うざったい?」と思ってた人たちを見直す心が生まれ、自分の見える世界も変わって来たのです。
「人を愛さなきゃいけない」そう思いつつそうできない自分に心が残る順良な中年女性。
この主人公のように自分のことをじっくりと内省し前向きに思うことこそ大切だと思う。
そんなことも考えずに暮らしてる人も多いのではないかしら。
世の中「金さえあれば風な気持ち」でね。

話してくれた友人は穏やかで何でもできる人。
そうは思えないけど、きっと自分をそんなふうに思うことがあったのでしょう。

でも、でもね、私は思うんです。
人が苦手、ということは「人が好き」なのだと。
あなたにそんな奇跡は必要ないと。
読んだときはそういう気分だったかもしれないけど、
別の気分の時は「人が好き」になっていると思う。
それだからこそ人間、と思います。
主人公もきっとそう。
誰かが奇跡を起こしてくれたのではなく、それはもともと自分の心にあったのだと思うのです。

どんなものにも表裏がある。
裏に回ればそこは表で、さっきまで表立ったところが裏になる。
スポットライトのあて方で見え方は変わってくる。
 
そして、そう、わたしたちは丸い地球にすんでいるのよね。
さっきまで夜だったかの地に朝日が差して、こちらには夜がやってくる。

 私は特定の宗教を持たない。
だからどこででも手を合わすことができ、
様々なものに心の平和を得ることができると思う。
「性善説」が好き。私は悪人やその家族の心の奥の哀しさを考えてしまうのです。(関係ないか。)
「水上バス」と「いと高き昇進」が良かった。

ベツレヘムの星 Book ベツレヘムの星

著者:アガサ・クリスティー
販売元:早川文庫
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